教育者と教育観

ソクラテス(前470~)
  • 「助産法」と呼ばれる教育方法で、無知を自覚させるはたらきとしての「論破」と真知を生み出させる助力としての「助産術」からなる。 
  • 相手を無知の知に導いていき、誤りから解脱させるための方法として問答法(対話法)を示した。

コメニウス(1592~1670、チェコの教育学者)
  • 近代教育の父
  • 「汎知体系」(パンソフィア)
    • 神と自然界、人間界に関する全知識ということを意味し、これを全民衆に教えることによって、平和で理想的な社会が実現できるというもの。
  • 「大教授学」
  • 人間を教える技術は、事物の一番奥底にあるゆるぎない自然に基づいていなければならない。
  • 「世界図絵」(1658)
    • 世界初の絵入りの語学教科書
  • 直観教授
    • あらゆるものを学習者のできるだけ、多くの感覚にさらす。

ロック(1632~1704、イギリスの哲学者)
  • 教育こそ、実に、一切の人間の間に差異をもたらす。
  • 精神は「タブラ・ラサ(白紙)」であるとする考えを打ち出し、人間の悟性は白紙のようなものであってそこに刺激を与えて、望ましい観念を形成していく営みが教育であると考えた。
  • 「教育に関する考察」 
    • 健全な身体に宿る健全な精神とは、この世にある幸福な状態を簡潔にしかも十分に言い表した言葉である。
  • 「紳士教育論」
    •  教育された紳士とは、「健康な身体をもち、豊かな社会性と有用な生活知識を備えた実践的人間である」とし、理性的行動を通して、現世的幸福を追求する人間の形成を教育の目的とした。
  • 「教育論」
  • 「人間悟性論」

ルソー(1712~1778、フランス)
  • 人間は自然すなわち本性において、善性が支配しているので、この善性の法則に従って教育されるべきであろう。
  • 子ども時代は固有な価値をもつことを主張し、教育はそれを的確につかむことによって、その段階にふさわしい教育とならねばならないと主張。 
  •  子どもの発見
    • 子どもは子どもでなければならず、「小さな大人」や「大人の縮図」であってはならないとした。
  • 「エミール」
    • 創造主の手から出る時には、すべてが善いものであるが、人間の手にかかるとそれらがみな例外なく悪いものになってゆく。→性善説
  • 「社会契約論」(1762)
  • 自然の教育
    • 自然の合理性に合致させることを重視し、視覚を通して事物の性質と言語を結び付ける近代教育学の基礎を作った。
  • 自然に帰れ
  • 消極(的)教育
  • 消費教育

カント(1724~1804、ドイツの哲学者)
  • 道徳的人格の形成を教育の目的とした。
  • 教育学
    • 人間は教育されなければならない唯一の被造物である。
    • 人間は教育によってのみ人間となることができる。人間とは、教育が人間から作り出したものにほかならない。
    • 人類は人間性のあらゆる自然素質を、みずからの努力によって徐々に自分自身の中から引きだしてこなければならない。ある世代がつぎの世代を教育することになる。

コンドルセ(1743~1794、フランス)
  • 「公教育は国民に対する社会の義務である。」
  • 「公教育の全般的組織に関する報告及び法案」を提出、公教育制度の確立のために尽力した。

ペスタロッチ(1746~1827、スイス)
  • →フレーベルに受け継がれる
  • 「隠者の夕暮れ」
    • 人間、それは玉座の上にいても、木の葉の屋根の下にいても同じなのだが、その人間の本質は一体なんであろう。 
  •  「白鳥の歌」
    • 生活が陶冶する
    • 陶冶とは
      • 科学・技術・芸術などの知識や技術を伝達・教授することによって、子どもに知識・理解・技能を形成しようとする教育作用である。
  • 民衆教育
    • 教育を社会改革の最も基本的で有効な手段と考え、教育の目的を「民衆が陥っていた不幸の源泉をせきとめること」とし、民衆の生活の徹底的な内的革新を図ることにおいた。
  • 単に知識を与えるだけでなく、働くことも教えなければならないと考えた。
  • 「リーンハルトとゲルトルート」
    • 民衆の問題の根底には貧困があり、民衆の救済のためには経済的な自立が必要であると述べ、そのために民衆への教育が必要不可欠であると主張。
  • 「ゲルトルート児童教育法」
  • シュタンツの孤児院
  • 教育の原理(自発性の原理ー方法の原理ー直観の原理ー調和の原理ー社会の原理)
  • 一般国民のために初等教育の教授法を簡潔にし、その教育方法の改良を通じて社会改革を企図した。 
  • 「育児日記」
    • 長男ヤコブの成長と教育について書き記した。児童研究の最初の実例と言われている。

オーウェン(1771~1858、工場経営者)
  •  1816年、スコットランドの自ら経営する紡績工場内に性格形成学院を創設。
  • 人間の性格は本来善であるが、生後の環境によっては悪くもなるので、幼児期によい環境を与えることによって、合理的な思考と行動を可能にするよい人格形成が促される必要があると説いた。
  •  「人間は環境の子である。」

イタール(1774~1838、フランスの医師)
  • 環境説 ⇔ 遺伝説(生得説)
    • 人間の発達は、生後どのような環境でどのような教育を受けるかで大きく左右されるという考え方。
  • アヴェロンの野生児
    • フランスのアヴェロンの森の中で発見された11~12歳の少年を、5年間努力をして文明から隔離されていたことによる障害を除去しようとした。

フレーベル(1782~1852、ドイツの教育思想家)
  • 人間教育の基礎は、生命の合一を自然にもつ幼児期であり、その合自然的発達の場は家庭であり、教師は父母である。
  • 幼児教育
  • 子どもの園
  • 「人間の教育」
    • 恩物(Gabeと呼ばれる教育遊具)
    • 幼児期の遊びや遊ぶことは、幼児の発達にとって最高の段階である。

ヘルバルト(1776~1841、ドイツの教育学者・哲学者)
  • 一般教育学
    • 教育の三領域(管理、訓育、教授)
  • 管理・教授・訓練の3つは決して一つのものではない。
  • 四段階教授法、教育的教授(明瞭ー連合ー系統ー方法)
    • 導入ー展開ーまとめ 
  • 「教授は教育という目的を達成するための必要不可欠な方法である。」と主張した。

デューイ(1859~1952、アメリカ、シカゴ大学)
  • 社会が自らのためになしとげたいっさいのものは、学校の働きを通して、あげてその未来の成員の手にゆだねられる。
  • 「学校と社会」
    • シカゴ大学附属実験学校の実践報告
    • 子どもが太陽となり、その周囲を教育の諸々のいとなみが回転する。子どもが中心であり、この中心のまわりに諸々のいとなみが組織される。
    • 児童中心主義
  • プラグマティズム
    • なすことによって学ぶという、経験主義、実験主義を教育の基本原理とした。
  • 道具主義、実験主義
  • 問題解決学習
    • 進歩主義教育学者が重視した学習方法。
  • 探究における問題解決の過程
  • 問題ー仮説ー資料ー検証ー適応、PDCA 
  • 「民主主義と教育」
    • 教育のすべては児童からはじまる
    • 教育は、経験の意味を増し、また後の経験を見透す力を形成する能力を増す経験の再構成である。」と定義している。

キルパトリック(1871~1965、アメリカ)
  • プロジェクト・メソッド
  • 「目的・計画・実行・評価」の手順の大切さを推奨した。

モンテッソーリ(1870~1952、イタリア初の女性医学博士)
  • モンテッソーリ・メソッド
    • 子どもの家、保育所、遊具、教具
    • 教育思想、感覚教具

エレンケイ(1849~1926、スウェーデンの女性教育者、思想家)
  • 「児童の世紀」
    • 従来の教育が大人の立場からなされていたのに対して、子どもの立場から見直すべきことを主張した。
  • 19世紀を「女性の世紀」、20世紀を「児童の世紀」と呼び、児童の世紀において、児童は「子どもの親を選ぶ権利」などをもつとみなされ、自由恋愛と優生学がその権利を実現すると説いた。

ナトルプ(1854~1924、ドイツの哲学者)
  • 「社会的教育学」
  • 「人間はただ人間的な社会を通してのみ人間となる。」
  • 社会を基礎とする意志教育を理論化し、自律的個人の自由な結合による共同体を構想し、個人の陶冶と共同体の相互関係を前提にした国民意識の統合をめざして統一学校と作業学校の設立を主張した。


スキナー(アメリカ)
  • オペラント条件付け(ハト)
  • プログラム学習
  • ティーチングマシン

ビネー
  • 知能検査の創案者

ペーターゼン(ドイツ)
  • イエナ・プランを実践し「学校は生活共同体(ゲマインシャフト)の縮図でなければならない。」という考えから、学年別学級を廃止し、低学年・中学年・高学年の三段階に分けた。
  • ゲゼルシャフト

 エリクソン(ドイツ~アメリカ)
  • アイデンティティ(自我同一性)という概念を提唱した。

 ブルーナー(アメリカ)
  • 発達学習の提唱者
  • 「どの教科でも、知的性格をそのままに保って、発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる。」という仮説を提示した。
  • 「教育の過程」
  •  1959年、アメリカのウッズホールでは、スプートニク・ショックを受けて、これからの教育のあり方について共同討議された。

デュルケーム(1858~1917、フランス)
  • 教育を「自然的な人間を人倫的にする術である」とし、教育の目的は、人間を国家の一員、国民にまで形成することであるとした。
  • 「道徳教育論」
  • 「教育と社会学」

パーカスト(1887~1973、アメリカ)
  •  ドルトン・プラン
    • 子どもの個性や成長段階など個人差を重視した自学システム)

スペンサー
  • 「教育の目的は生活の各方面における完全な準備を与えるにあり。」


ポルトマン(1897~1982、スイスの動物学者)
  • 生理的早産
  • 生後1年間を「子宮外胎児期」と呼び、「直立姿勢」や「言語」など、多くのことを出産後に獲得していける可塑性、つまり発達の可能性が秘められている。


シュテルン(1871~1938、ドイツの心理学者)
  • 輻輳説
    • 人間の発達は、生まれながらにもっている遺伝的素質と、生まれた後、まわりから受ける環境の影響、この相互交渉によっておこるという考え方。

マカレンコ
  • 集団主義教育
  • 「教育詩」