学校教育法

内容と構成
  • 第一章、各学校に共通する規定で、学校の範囲、設置、管理、職員、懲戒、健康診断、学校閉鎖など。
  • 第二章、義務教育について、保護者の子に対しての義務、市町村による義務の猶予または免除・必要な援助など。
  • 第三~十一章、幼稚園から専修学校まで、各学校の目的、目標、教育内容、修業年限など。
 

第一章 総則

 第1条
  • この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

 第2条
  • 学校は、国、地方公共団体、及び法律に定める学校法人のみが、これを設置することができる。 

 第6条
  • 学校においては、授業料を徴収することができる。ただし、国立又は公立の小学校及び中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部及び中学部については、これを徴収することができない。

 第11条
  • 校長及び教員は、教育上必要があると認められるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

 第12条
  • 学校においては、別に法律で定めるところにより、幼児、児童、生徒及び学生並びに職員の健康の保持増進を図るため、健康診断を行い、その他その保健に必要な措置を講じなければならない。

第二章 義務教育

 第20条
  • 学齢児童又は学齢生徒を使用する者は、その使用によって、当該学齢児童又は学齢生徒が、義務教育を受けることを妨げてはならない。

 第21条(義務教育の目標)
  1. 学内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
  2. 学内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  3. 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
  4. 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
  5. 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
  6. 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
  7. 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
  8. 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
  9. 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
  10. 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

第三章 幼稚園

 第22条
  • 幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。
 
第四章 小学校

 第29条
  • 小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とする。

 第34条
  • 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
  • 前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。 

 第35条
  • 市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。
    1. 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
    2. 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
    3. 施設又は設備を損壊する行為
    4. 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
  • 市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。 

 第37条
  •  小学校及び中学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。
  • 前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭その他必要な職員を置くことができる。
  • 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
  • 副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
  • 教頭は、校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。
  • 主幹教諭は、校長及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育をつかさどる。
  • 指導教諭は、児童の教育をつかさどり、並びに教諭その他の職員に対して、教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う。

第五章 中学校

 第45条
  • 中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。

 第46条
  • 中学校における教育は、前条に規定する目的を実現するため、第21条に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。 

第六章 高等学校

 第50条
  • 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。 

 第51条
  • 高等学校における教育は、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
    1. 義務教育として行われる普通教育の成果をさらに発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
    2. 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。
    3. 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。

 第52条
  • 高等学校の学科及び教育課程に関する事項は、法律の規定に従い、文部科学大臣が、これを定める。 

第八章 特別支援教育

 第72条
  • 特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)に対して、幼稚園から高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

 第81条
  • 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。
  • 小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
    1. 知的障害者
    2. 肢体不自由者
    3. 身体虚弱者
    4. 弱視者
    5. 難聴者
    6. その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの
  • 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。

第九章 大学
  • 大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。
  • 大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。