- 改善の基本方針
- 小・中・高等学校を通じて、発達の段階に応じ、算数的活動・数学的活動を一層充実させ、基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけ、数学的な思考力・表現力を育て、学ぶ意欲を高めるようにする。
- 数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・技能は、生活や学習の基盤となるものである。学年間や学校段階間で内容の一部を重複させて、発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による教育課程を編成できるようにする。
- 数学的な思考力・表現力は、合理的、理論的に考えを進めるとともに、互いの知的なコミュニケーションを図るために重要な役割を果たすものである。
- 子どもたちが算数・数学を学ぶ意欲を高めたり、学ぶことの意義や有用性を実感したりできるようにすることが重要である。
- 改善の具体的事項
- 領域構成は、「数と式」、「図形」、「関数」、「資料の活用」の4領域とする。
- 生徒のつまずきに対応し、時間をかけてきめ細かな指導ができるように、学び直しの機会を設定することを重視する。
- 数学的活動を重視する。
- 数学を生み出す活動
- 数学を利用する活動
- 数学的に伝え合う活動
- 数学的に実感する活動
- 「数と式」の領域で重視すること
- 文字を用いて一般的に考えることの必要性やよさについての理解を深める。
- 身の回りの数量やその関係を数や文字を用いた式で表現する。
- 式を手順にしたがって能率的に処理する。
- 式の意味を積極的に読み取り自分なりに説明したりすること。
- 「図形」の領域で重視すること
- 身の回りにあるものを図形としてとらえてその性質や関係などを明らかにすること。
- 図形の性質などを根拠を明らかにして筋道を立て説明したり、その説明から新たな性質や関係を読み取ったりすること。
- 「関数」の領域で重視すること
- 表、式、グラフなどを用いて変化や対応の様子を調べてその特徴を説明する。
- 表、式、グラフなどから新たな関係や特徴を読み取って、それを具体的な場面で解釈したりする。
- 「資料の活用」の領域で重視すること
- 資料に基づいて集団の傾向や特徴をとらえ、それをもとに判断すること
- 目標の改善
- 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感することができるようにすること
- 事象を数理的に考察し表現する能力を高めること
- 活用して考えたり判断したりしようとする態度を育てること
- 指導計画の作成と内容の取扱いに関する改善
- 学び直しの機会の設定
- 数学的活動の一層の充実
- 数学的活動を楽しみ、数学を学習することの意義や必要性を実感すること
- 見通しを持って数学的活動に取り組み、振り返ること
- 数学的活動の成果を共有すること
- 課題学習の位置付け
「目標」
- 数学的活動を通して、数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則についての理解を深め、数学的な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察し表現する能力を高めるとともに、数学的活動の楽しさや数学のよさを実感し、それらを活用して考えたり判断したりしようとする態度を育てる。
「各学年の目標」
- 第1学年
- 数を正の数と負の数まで拡張し、数の概念についての理解を深める。また、文字を用いることや方程式の必要性と意味を理解するとともに、数量の関係や法則などを一般的にかつ簡潔に表現して処理したり、一元一次方程式を用いたりする能力を培う。
- 平面図形や空間図形についての観察、操作や実験などの活動を通して、図形に対する直観的な見方や考え方を深めるとともに、理論的に考察し表現する能力を培う。
- 具体的な事象を調べることを通して、比例、反比例についての理解を深めるとともに、関数関係を見出し表現し考察する能力を培う。
- 目的に応じて資料を収集して整理し、その資料の傾向を読み取る能力を培う。
- 第2学年
- 文字を用いた式について、目的に応じて計算したり変形したりする能力を養うとともに、連立二元一次方程式について理解し用いる能力を培う。
- 基本的な平面図形の性質について、観察、操作や実験などの活動を通して理解を深めるとともに、図形の性質の考察における数学的な推論の必要性と意味及びその方法を理解し、論理的に考察し表現する能力を養う。
- 具体的な事象を調べることを通して、一次関数について理解するとともに、関数関係を見いだし表現し考察する能力を養う。
- 不確定な事象を調べることを通して、確率について理解し用いる能力を培う。
- 第3学年
- 数の平方根について理解し、数の概念についての理解を深める。また、目的に応じて計算したり式を変形したりする能力を伸ばすとともに、二次方程式について理解し用いる能力を培う。
- 図形の相似、円周角と中心角の関係や三平方の定理について、観察、操作や実験などの活動を通して理解し、それらを図形の性質の考察や計量に用いる能力を伸ばすとともに、図形について見通しをもって論理的に考察し表現する能力を伸ばす。
- 具体的な事象を調べることを通して、関数y=ax^2について理解するとともに、関数関係を見いだし表現し考察する能力を伸ばす。
- 母集団から標本を取り出し、その傾向を調べることで、母集団の傾向を読み取る能力を培う。
「内容」
- 中学校数学科の内容の骨格
- 数の概念及びその範囲の拡張
- ユークリッド空間
- 関数
- 不確定な事象
- 文字を用いた式
- 数学的な推論
- 説明し伝え合うこと
- 領域の構成
- 4領域について、中学校数学科で取り上げる内容については、以下の二つの視点から構成した。
- 日常生活や社会において自立的に生きる基盤として不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい内容
- 義務教育以降の様々な専門分野における学習を深めていく上で共通の基盤として習得しておくことが望ましい内容
- 数学的活動について
- 数や図形の性質などを見いだす活動
- 第1学年:既習の数学を基にして、数や図形の性質などを見いだす活動
- 第2,3学年:既習の数学を基にして、数や図形の性質などを見いだし、発展させる活動
- 数学を利用する活動
- 第1学年:日常生活で、数学を利用する活動
- 第2,3学年:日常生活や社会で、数学を利用する活動
- 数学的に説明し伝え合う活動
- 第1学年:数学的な表現を用いて、自分なりに説明し伝え合う活動
- 第2,3学年:数学的な表現を用いて、根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
「各学年の内容」
[第1学年]
- A,数と式
- 具体的な場面を通して正の数と負の数について理解し、その四則計算ができるようにするとともに、正の数と負の数を用いて表現し考察することができるようにする。
- 正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。
- 小学校で学習した数の四則計算と関連付けて、正の数と負の数の四則計算の意味を理解すること。
- 正の数と負の数の四則計算をすること。
- 具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。
- [用語・記号]自然数、符号、絶対値
- 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うとともに、文字を用いた式の計算ができるようにする。
- 文字を用いることの必要性と意味を理解すること。
- 文字を用いた式における乗法と除法の表し方を知ること。
- 簡単な一次式の加法と減法の計算をすること。
- 数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し、式を用いて表したり読み取ったりすること。
- [用語・記号]項、係数、≦、≧
- 方程式について理解し、一元一次方程式を用いて考察することができるようにする。
- 方程式の必要性と意味及び方程式の中の文字や解の意味を理解すること。
- 等式の性質を基にして、方程式が解けることを知ること。
- 簡単な一元一次方程式を解くこと及びそれを具体的な場面で活用すること。
- [用語・記号]移項
-
B,図形
- 観察、操作や実験などの活動を通して、見通しをもって作図したり図形の関係について調べたりして平面図形についての理解を深めるとともに、理論的に考察し表現する能力を培う。
- 角の二等分線、線分の垂直二等分線、垂線などの基本的な作図の方法を理解し、それを具体的な場面で活用すること。
- 平行移動、対称移動及び回転移動について理解し、二つの図形の関係について調べること。
- [用語・記号]弧、弦、//、⊥、∠、△
- 観察、操作や実験などの活動を通して、空間図形についての理解を深めるとともに、図形の計量についての能力を伸ばす。
- 空間における直線や平面の位置関係を知ること。
- 空間図形を直線や平面図形の運動によって構成されるものととらえたり、空間図形を平面上に表現して平面上の表現から空間図形の性質を読み取ったりすること。
- 扇形の弧の長さと面積並びに基本的な柱体、錐体及び球の表面積と体積を求めること。
- [用語・記号]回転体、ねじれの位置、π
-
C,関数
- 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し、それらの変化や対応を調べることを通して、比例、反比例の関係についての理解を深めるとともに、関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う。
- 関数関係の意味を理解すること。
- 比例、反比例の意味を理解すること。
- 座標の意味を理解すること。
- 比例、反比例を表、式、グラフなどで表し、それらの特徴を理解すること。
- 比例、反比例を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
- [用語・記号]関数、変数、変域
- D,資料の活用
- 目的に応じて資料を収集し、コンピュータを用いたりするなどして表やグラフに整理し、代表値や資料の散らばりに着目してその資料の傾向を読み取ることができるようにする。
- ヒストグラムや代表値の必要性と意味を理解すること。
- ヒストグラムや代表値を用いて資料の傾向をとらえ説明すること。
- [用語・記号]平均値、中央値、最頻値、相対度数、範囲、階級
- [数学的活動]
- 「A、数と式」「B、図形」「C,関数」及び「D,資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において、次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
- 既習の数学を基にして、数や図形の性質などを見いだす活動
- 日常生活で数学を利用する活動
- 数学的な表現を用いて、自分なりに説明し伝え合う活動
[第2学年]
- A,数と式
- 具体的な事象の中に数量の関係を見いだし、それを文字を用いて式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を養うとともに、文字を用いた式の四則計算ができるようにする。
- 簡単な整式の加法、減法及び単項式の乗法、除法の計算をすること。
- 文字を用いた式で数量及び数量の関係をとらえ説明できることを理解すること。
- 目的に応じて、簡単な式を変形すること。
- [用語・記号]同類項
- 連立二元一次方程式について理解し、それを用いて考察することができるようにする。
- 二元一次方程式とその解の意味を理解すること。
- 連立二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
- 簡単な連立二元一次方程式を解くこと及びそれを具体的な場面で活用すること。
-
B,図形
- 観察、操作や実験などの活動を通して、基本的な平面図形の性質を見いだし、平行線の性質を基にしてそれらを確かめることができるようにする。
- 平行線や角の性質を理解し、それに基づいて図形の性質を確かめ説明すること。
- 平行線の性質や三角形の角についての性質を基にして、多角形の角についての性質が見いだせることを知ること。
- [用語・記号]対頂角、内角、外角
- 図形の合同について理解し図形についての見方を深めるとともに、図形の性質を三角形の合同条件などを基にして確かめ、論理的に考察し表現する能力を養う。
- 平面図形の合同の意味及び三角形の合同条件について理解すること。
- 証明の必要性と意味及びその方法について理解すること。
- 三角形の合同条件などを基にして三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめたり、図形の性質の証明を読んで新たな性質を見いだしたりすること。
- [用語・記号]定義、証明、逆、≡
-
C,関数
- 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し、それらの変化や対応を調べることを通して、一次関数について理解するとともに、関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う。
- 事象の中には一次関数としてとらえられるものがあることを知ること。
- 一次関数について、表、式、グラフを相互に関連付けて理解すること。
- 二元一次方程式を関数を表す式とみること。
- 一次関数を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
- [用語・記号]変化の割合、傾き
- D,資料の活用
- 不確定な事象についての観察や実験などの活動を通して、確率について理解し、それを用いて考察し表現することができるようにする。
- 確率の必要性と意味を理解し、簡単な場合について確率を求めること。
- 確率を用いて不確定な事象をとらえ説明すること。
- [数学的活動]
- 「A、数と式」「B、図形」「C,関数」及び「D,資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において、次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
- 既習の数学を基にして、数や図形の性質などを見いだし、発展させる活動
- 日常生活や社会で数学を利用する活動
- 数学的な表現を用いて、根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
[第3学年]
- A,数と式
- 正の数の平方根について理解し、それを用いて表現し考察することができるようにする。
- 数の平方根の必要性と意味を理解すること。
- 数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。
- 具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。
- [用語・記号]根号、有理数、無理数、√
- 文字を用いた簡単な多項式について、式の展開や因数分解が出来るようにするとともに、目的に応じて式を変形したりその意味を読み取ったりする能力を伸ばす。
- 単項式と多項式の乗法及び多項式を単項式で割る除法の計算をすること。
- 簡単な一次式の乗法の計算及び次の公式を用いる簡単な式の展開や因数分解をすること。
- 文字を用いた式で数量及び数量の関係をとらえ説明すること。
- [用語・記号]因数
- 二次方程式について理解し、それを用いて考察することができるようにする。
- 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
- 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くこと。
- 二次方程式を具体的な場面で活用すること。
-
B,図形
- 図形の性質を三角形の相似条件などを基にして確かめ、論理的に考察し表現する能力を伸ばし、相似な図形の性質を用いて考察することができるようにする。
- 平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること。
- 三角形の相似条件などを基にして図形の基本的な性質を論理的に確かめること。
- 平行線と線分の比についての性質を見いだし、それらを確かめること。
- 基本的な立体の相似の意味と、相似な図形の相似比と面積比及び体積比の関係について理解すること。
- 相似な図形の性質を具体的な場面で活用すること。
- [用語・記号]∽
- 観察、操作や実験などの活動を通して、円周角と中心角の関係を見いだして理解し、それを用いて考察することができるようにする。
- 円周角と中心角の関係の意味を理解し、それが証明できることを知ること。
- 円周角と中心角の関係を具体的な場面で活用すること。
- 観察、操作や実験などの活動を通して、三平方の定理を見いだして理解し、それを用いて考察することができるようにする。
- 三平方の定理の意味を理解し、それが証明できることを知ること。
- 三平方の定理を具体的な場面で活用すること。
-
C,関数
- 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し、それらの変化や対応を調べることを通して、関数y=ax^2について理解するとともに、関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う。
- 事象の中には関数y=ax^2としてとらえられるものがあることを知ること。
- 関数y=ax^2について、表、式、グラフを相互に関連付けて理解すること。
- 関数y=ax^2を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
- いろいろな事象の中に、関数関係があることを理解すること。
- D,資料の活用
- コンピュータを用いたりするなどして、母集団から標本を取り出し、標本の傾向を調べることで、母集団の傾向が読み取れることを理解できるようにする。
- 標本調査の必要性と意味を理解すること。
- 簡単な場合について標本調査を行い、母集団の傾向をとらえ説明すること。
- [用語・記号]全数調査
- [数学的活動]
- 第2学年と同じ。
「評価の観点」
- 数学への関心・意欲・態度
- 数学的な見方や考え方
- 数学的な技能
- 数量や図形などについての知識・理解